高岡銅器 1/48クロムクロ キューブ 合金製 黒染め・朱塗り仕上げ 完成間近です!

8/7まで実施していたクラウドファンディング、①②コースの返礼品として告知していた『高岡銅器 1/48キューブ』ですが、他の返礼品の一般販売が始まる中で、唯一まだ詳細をお知らせできておりませんでした。ようやく完成間近となってまいりましたので、製作工程の模様をお伝えします。

『クロムクロ』では初の公式立体商品ということで、その実現には多くの困難が待ち受けていました。伝統工芸である高岡銅器は、一点一点手作り。しかも完全な一点ものではなく、返礼品として一定数を製作するということで、試作品の段階から量産を意識した設計とする必要がありました。また設計、型作成、鋳造・溶接、着色、金箔加工と、工程ごとに別々の会社さんや職人さんたちが協力して作業にあたられることから、後工程も意識したスケジュール管理が必要です(『S●IROBAKO』で描かれたアニメ制作現場のようですね)。製作委員会様の企画許諾ののち、大型連休前から作業がスタートしました。

まずピーエーワークス様からご提供いただいたキューブの3Dデータ、設定資料集などを参考にしながら、キューブの仕様を決めていきます。型の作成方法もいろいろあるそうで、今回の製作にもっとも向いている方法を探っていきます。また大きさは当初ノンスケールでご提案いただきましたが、ディスプレイした際の見映えと、市販のスケールプラモデルなどと並べて置けるように、実物(存在しませんが・・・)の1/48スケールに変更していただきました。また全金属製となることを考慮して、強度の問題があるコクピットハッチについては、可動式ではなく、開いた状態での固定式としました。

当時のラフスケッチ、やりとりの跡が残っています。

3Dプリンターで出力された試作品第1号

ほぼ確定した設計データから3Dプリンターで試作品(形状見本)を出力していただきます。真っ赤な試作品を見て、思わず「おおっ!」と大きな声を上げた記憶があります。大まかな形の確定と並行して、キューブの表面に刻まれたたくさんのモールド(模様、溝)の再現度、凹凸のつけ方などを、実際に鋳造したものも確認しながら調整しました。3DCGで描かれたデザインをメリハリを付け金属製品に落とし込みます。

高岡銅器の産地、富山県高岡市は、parubooksのある南砺市からクルマで50分ほどのところ。江戸時代に加賀藩の2代目藩主・前田利長によって7人の鋳物師が招かれて以来、400年以上にわたって綿々と受け継がれてきた技で、高岡銅器は国の伝統的工芸品にも指定されています。国内の銅像(駅前や観光地でよく見かけますね)のほとんどを製造されるなど、金属鋳造の技術は文字通り日本一。その職人のみなさんをもってしても、今回のキューブ製作は苦労の連続だったとうかがっています。

組立試作品を前に打ち合わせを重ねています。

全体スケジュールや写真を使って工程ごとの情報を共有中

特に難しかったのは、キューブ内部のコクピットシートでした。この部分はキューブ本体とは別に製造するため、重すぎると組み立てた際にキューブがバランスを崩し、倒れてしまう可能性もあります。そんな条件で完成後の強度も計算しつつ、ハッチが開いた状態で「映える」見た目に近づけていきます。

3Dプリンターで出力されたシート部分の試作品

そして試行錯誤の末、6月に入ってお送りいただいた試作品画像がこちら。

真鍮(銅と亜鉛の合金)が鈍い光を放つ試作品

思った以上の再現度と重量感に感動しました!電動ターンテーブルに乗せ、くるくる回しながら撮影してくださったみたいで、その周到な準備にも脱帽です。あとは全体を黒染めしたものをラッカー塗料で着色し、表面に金箔を施せばキューブテスト版の完成です。


クラウドファンディングも佳境に差し掛かり、製作委員会様の監修スケジュールも迫ってきた7月中旬。ついに高岡から監修用の試作品が届きました。「クロムクロ」のキーカラーである、漆黒と真紅を高岡銅器ならではの解釈で再現いただき、感動しました。美しい工芸製品の完成がいよいよ近づいてきました。

タミヤ1/48「陸上自衛隊10式戦車」とのツーショット

塗装はもちろん一点ずつ手作業で行っています。竹串を使ってモールド部分までマスキングを施し、慎重に塗り分け。側で作業の様子を見せていただいた際も、緊張でつばを飲み込むのも忘れるほどでした。

その後、製作委員会様の監修も終わり、量産工程に入る段階で、富山県内は新型コロナウイルスの感染拡大に見舞われました。製造スケジュールにも一部影響が出ましたが、現在急ピッチで職人さんたちが作業中です。クラウドファンディング支援者の皆様、到着までもうしばらくお待ちください。

9/18の小説『クロムクロ 秒速29万kmの亡霊』の発売に合わせ、カフェトリアン店内にて試作品を展示予定です。少量ですが10月以降に一般発売も予定しておりますのでお楽しみに!

特製桐箱のフタデザイン、キューブ型の落款入り

☆取材協力:
 高オタクラフト実行委員会  
 https://takaotacraft.wixsite.com/taka-ota
 株式会社道具 http://www.dougu-imono.com/
 有限会社川津工芸 http://kawatsukougei.com/